「儲かる飲食店経営」とは?基本的なポイント4つと利益率UPにつながる具体策をご紹介
無事開業してお店が持てれば、まさに「一国一城の主」として自分の理想のお店作りが始まります。メニューが豊富なお店や、アットホームでお客様との会話を楽しめるお店など、一人一人思い描くイメージがあることでしょう。しかしながら、お店を続けるためには当然「儲け」を出す必要があります。飲食店は開業からわずか2年で50%が閉店するといわれる厳しい世界です。どんぶり勘定の経営では、当然お店は長続きはしません。
今回は、飲食店経営で「儲け」を出すために必要な考え方を4つのポイントに絞って解説!さらにポイントをふまえた利益率UPの具体的な対策もご紹介します。理想のお店を経営し続けるために、まずは基本的な知識を身につけましょう!
トピックス
「儲かる飲食店経営」基本的な4つのポイント
飲食店経営を成功させるには様々な知識が必要ですが、今回は以下の基本的なポイント4つに絞って解説します。- 営業利益
- 売上
- 経費
- FL比率
ポイント1|「営業利益」:売上から経費を引いて残ったお金
「儲け」とは、お店の売上から経費を引いた残りの金額のことです。
この「儲け」のことを「営業利益」といいます。
営業利益 = 売上 - 経費
売上と経費が同額なら営業利益は0円。
売上より経費が少ない場合がいわゆる「黒字」です。
売上に対する営業利益の割合を「営業利益率」といいます。
営業利益は売上の10%残れば良い方といわれており、一般的に営業利益率は5~8%が多いようです。
例えば月の売上が500万円のお店の場合、一般的な営業利益は25~50万円という計算になります。
売上額が大きい割に、残る利益は少ないのが飲食店経営の現実です。
営業利益を少しでも多く残すため日々試行錯誤を行うのが、儲かる飲食店経営の基本方針となります。
ポイント2|「売上」:お店のコンセプトに合った売上の上げ方を考えよう
売上は、以下のように計算できます。売上 = 客単価 × 客数
(客数 = 座席数 × 回転数)
(客数 = 座席数 × 回転数)
「客単価」はお客様一人当たりが使う金額(平均)です。
客数は、座席数と回転率(1日にお客様が入れ替わる回数)で表すことにします。
ここで大事なのは、お店のコンセプトを明確にし、そのお店に合った売上の上げ方を考えることです。
以下の例でご説明しましょう。
1)居酒屋とラーメン屋の場合
もし、居酒屋Aとラーメン屋Bが同じ売上を出そうとしたとき、売上の計算式の内容はどうなるでしょうか。
仮にどちらも座席数が20席のお店で、1日に20万円の売上を稼ぐとすると、
居酒屋A :5,000円 × 20席 × 2回転= 20万円 (客数40人)
ラーメン屋B:1,000円 × 20席 × 10回転= 20万円 (客数200人)
ラーメン屋B:1,000円 × 20席 × 10回転= 20万円 (客数200人)
居酒屋では1人当たりおよそ2時間くらい飲んでいくと考えると、ラーメン屋に比べて回転率は低いです。
ただし客単価はラーメン屋より高くなるので、少ない客数でも売上を上げられます。
逆に、ラーメン屋は高い回転率で客数を増やして勝負する営業形態といえるでしょう。
2)コンセプトの異なるラーメン屋の場合
同じラーメン屋でも、味にこだわった「ラーメン屋B」と、安さにこだわった「ラーメン屋C」のようにコンセプトが異なる場合はどうでしょうか。
ラーメン屋B:1,000円 × 20席 × 10回転=20万円 (客数200人)
ラーメン屋C: 800円 × 25席 × 10回転=20万円 (客数250人)
ラーメン屋C: 800円 × 25席 × 10回転=20万円 (客数250人)
ラーメン屋Cは客単価を低くした分、客数を増やすことでラーメン屋Bと同じ売上を出せています。
このように、自分のお店のコンセプトを明確にしたうえで、計算式のどの要素で売上を増やすべきか、最適な方法を考えることが大切です。
ポイント3|「経費」:変動費と固定費に分けられる
お店を経営するには様々なお金(経費)がかかります。経費にはどんなものがあるでしょうか。
主なものとしては「食材の原価(材料費)」「社員やアルバイトを雇う人件費」「店の家賃」「水道光熱費」「宣伝広告費」「備品購入などの雑費」「減価償却費」「リース代」などが挙げられます。
これらの経費は、「変動費」と「固定費」の2種類に分けられます。
「変動費」
お店の売上や客数の増減によって変動する費用です。
材料費、人件費、広告費などが変動費にあたります。
お店の売上や客数の増減によって変動する費用です。
材料費、人件費、広告費などが変動費にあたります。
「固定費」
家賃やリース代のようにお店が暇でも忙しくても、毎月一定の金額がかかる費用です。
家賃やリース代のようにお店が暇でも忙しくても、毎月一定の金額がかかる費用です。
開業したばかりで売上が不安定な時は、特に固定費が高いと営業利益が残りにくい状態になります。
開業時は家賃などの固定費をできるだけ抑えることが必要です。
ポイント4|「FL比率」:営業利益を出すための重要な指標
「食材の原価は売上の3割」というのを聞いたことがありますか?飲食業界ではよく言われることですが、食材の原価(材料費)のほかにも、売上に対する経費の割合には下記のような目安があります。
これらの経費の割合から導き出されるのが、「営業利益率は5~10%」という数字です。
売上に対する経費の割合
- 材料費 25~35%
- 人件費 25~35%
- 家賃 8~12%
- 光熱費 5~10%
- その他 10%前後
各費用を比べると、材料費(Food)と人件費(Labor)が最も大きい割合を占めているのがわかりますね。
この2つの費用を合わせたものは「FLコスト」といいます。
FLコストが売上に占める割合は「FL比率」と呼ばれ、どちらも飲食店を経営するうえで重要な指標とされています。
営業利益を出すためには、FL比率は60%以下に抑えるのが良いとされています。
また、FL比率が65%以上の場合、営業利益が出ないか赤字になることが多いようです。
営業利益を出すには、もちろん売上を増やすことも必要です。
しかし、いくら売上が上がっても、経費が多いと残る利益も少なくなってしまいます。
FL比率などの指標をもとに、日々の経営状況を常にチェックしましょう。
利益UPのために行うこと
ここまで飲食店経営で営業利益を出すための基本的なポイントを説明しました。ここからは、営業利益を出すためには実際に何をすればよいかという具体例を紹介します。
「営業利益=売上-経費」なので、営業利益を増やすには「売上を増やす」か、「経費を減らす」かの2つの方向性があります。
売上を増やす
- 客数を増やす…客席数を増やす、オペレーションを改善して回転率を上げる
- 客単価を増やす…セットメニューを開発する、客層に合った商品を開発する
費用を減らす
- 材料費を減らす…仕入れ原価を下げる、フードロス削減、オーバーポーション削減
- 人件費を減らす…シフト調整、マニュアル改善、券売機などの導入
売上を増やす
売上は「売上=客単価×客数」で計算できるので、「客数」か「客単価」を増やすことで売上UPにつながります。1)客数を増やす
客数を増やす一番簡単な方法は、座席数を増やすことです。
開業後でも座席の間隔を詰めることで座数席は確保できるでしょう。
開業前なら、カウンター席のある物件を選んだり小さめのテーブルやいすを用意することで、同じ面積でも客席数を増やすことができます。
ただし、あまり座席を詰めすぎるとお客様の居心地が悪くなったり、導線が確保できず回転率が悪くなったりする可能性があるので注意が必要です。
座席数はそのままでも、混雑時はテーブル席で相席をお願いして空席を減らしたり、従業員の導線を見直したりと、オペレーションの改善で回転率を上げるという対策も考えられます。
2)客単価を上げる
開業後の場合、単価を値上げするのは難しいので、セットメニューやサイドメニューを開発して一人当たりの注文数を増やすことで客単価を上げましょう。
メニュー開発の際には、実際の客層(性別、年齢、時間帯など)をしっかり分析し、お客様の好みに合わせていく必要があります。
単価を値上げする場合は、「味にこだわり、より良い食材を使う」「店内設備やサービスの向上」など、お客様が納得してくれるような値上げに見合った「付加価値」をつけることが大切です。
経費を減らす
経費の削減は、経費のなかで割合の大きいFLコストに着目して行うのが効果的です。材料費(Food)と人件費(Labor)それぞれ見ていきましょう。
1)材料費(Food)を減らす
1)-1 仕入れ原価を落とす
一番簡単な方法は原価の安い材料に切り替えることですが、飲食店である以上、味を落とさないことが大前提です。
もしお客様に「前より味が落ちた」と思われれば、その評判はお店にとって致命的なダメージとなるでしょう。
食材の質を落とさずに仕入れ原価を落とすには、「大量発注によって割安に仕入れる」「新しい仕入れ先を探す」「値段の安い旬の食材を使う」などの工夫が挙げられます。
1)-2 フードロスを減らす
せっかく原価を落として材料を仕入れても、期限切れで廃棄ばかりしていては何の意味もありません。
期限内に使いきれる発注量になっているか材料ごとにチェックし、先入れ先出しを徹底するなど、在庫管理をしっかり行いましょう。
1)-3 オーバーポーションをしない
料理をやや多めに盛り付けてしまうなどということは、よくあることかもしれませんが、積み重なると材料費にも大きな影響が出てきます。
また、毎回盛り付ける量がまちまちでは、お客様からのクレームにもつながります。
レシピで分量を明確に決めて、スタッフ全員に教育を行いましょう。
2)人件費(Labor)を減らす
2)-1 シフトを無駄に厚くしない
仮に1日8時間、時給1,000円でアルバイトを1人配置とすると、30日で1人当たり24万円の人件費がかかります。
曜日や時間帯ごとに何人の従業員が必要なのか分析し、無駄のないシフトを作りましょう。
ただし、無理に人を削ってしまうとサービス面が行き届かなくなり、店の評判を落とす危険性もあるので注意が必要です。
2)-2 オペレーションを改善する
オペレーションは、「導線を一歩でも短くできないか」「調味料や調理器具を置く場所はどうか」など、無駄な動きを省くために細かく突き詰めていくことが大切です。
オペレーションを考えていく中で、注文、会計、食器洗いなどは機械で自動化するという判断も必要となるでしょう。
今まで5人で営業していたところを4人で回せるようになれば、人件費の大きな削減につながります。
まとめ
今回は、飲食店経営で利益を出すための基本的なポイントと、利益率UPのための具体的な方法をご紹介しました。利益を出すための知識は必要ですが、大切なのは独立開業準備の時と同様、理想のお店のコンセプトを自分の中で明確に定めることです。
「今の売上の上げ方や経費の抑え方はコンセプトに合った方法なのか」というのを常に意識することが、お店の経営を長く続けるための秘訣といえるでしょう。
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